炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は、広い意味では大腸に炎症を起こす全ての疾患を指しますが、狭い意味では「潰瘍性大腸炎」「クローン病」を意味します。
当院では、このIBDの診療に特に力を入れて取り組みたいと考えています。
IBDは未だに原因がはっきりとわかっておらず、そのため根治が難しく、国から難病に指定されている慢性疾患です。
(申請をすることで治療費の助成を受けることができます。)
「寛解」「増悪」といって、よくなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。状態が落ち着いているからと、治療をやめてしまうと多くの方で再燃します。
難病ではありますが、早期に発見し、適切な治療をして症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能ということです。
患者さんの数は近年増加の一途をたどっており、10代~30代の若い人に発症することが多いのも特徴です。
いままで基幹病院でたくさんのIBDの患者さんを診てきましたが、学生さんや社会人の方も多くいらっしゃいました。
進学、就職、結婚、出産など、多くの人生のイベントを控えている若い世代の方々が、発症しこの病気と長い間付き合っていくことになります。
多くの方が病院に行くために学校を休んだり、仕事のスケジュールを調整するのに苦労されていました。
時には受診の日程の調整がつかず、薬がなくなっているのに受診できなかったり、排便の調子が悪くなっていても我慢してしまい病状が悪化してしまう患者さんもいらっしゃいました。
診療してい行く中で、IBDの患者さんが通院しやすい環境づくりが必要だと感じていました。
炎症性腸疾患は、一度罹患してしまうと長い期間付き合っていかなければならない病気です。
なるべくIBDの患者さんの日常生活が制限されないようにしたい、病気でない方たちと同じように日常生活を送るサポートをしたいという気持ちを強く持っています。
少し調子が悪い、心配だという時は早めに受診してください。午後6時まで診療しています。
忙しいので薬を取りに行けないという時は、オンライン診療で受診も可能です。(オンライン服薬指導・郵送ができる薬局さんに処方箋を送ることができます。)
土曜日も内視鏡検査が可能ですのでどうぞ相談してください。
【どんな時に炎症性腸疾患を疑うのか?】
炎症性腸疾患を疑う症状は、下痢、血便、腹痛、体重減少、発熱などです。
潰瘍性大腸炎かクローン病か、腸のどのあたりで炎症がおこっているか、炎症の程度がどのくらいかで症状は様々です。
クローン病の場合は半数以上で痔ろうを合併し、目や関節など消化管以外にも症状が出ることがあります。
【当院で行う治療】
ガイドラインに則った、安全性と治療効果が確認された治療を行います。
- 5ASA製剤(内服・局所製剤)
- ステロイド(内服・局所製剤)
- 免疫抑制剤(イムラン など)
- 生物学的製剤(レミケード、ヒュミラ、ステラーラ、エンタイビオ、など)
- JAK阻害剤(ゼルヤンツ、ジセレカ、リンヴォック など)
また炎症性腸疾患は急な増悪をきたすことがあります。時には外科的な治療を要することもあります。
治療を行う上で一番大事なことは、このタイミングを逃さずに、高次医療機関へスムーズにつなぐことだと思っています。
【link】
炎症性腸疾患については、世の中にたくさんの情報が出回っていますが、消化器病学会や製薬会社のホームページには、最新の正しい情報がわかりやすく掲載されていますので、参考にしてください
IBD LIFE|クローン病と潰瘍性大腸炎患者さんの「どうすれば?」を「こうすれば!」へ (ibd-life.jp)