便秘症 治療
それでは便秘の治療についてです。
排便は毎日ある必要はありません。2~3日に1回でも、ご自身で特に症状がなければ問題ありません。
「生活の質の低下」がある場合に治療介入を行います。
まず基本として、正しい排便習慣、食生活の改善、適度な運動の習慣化が便秘解消には不可欠です。
朝食を食べないとか、お酒の量が多い、運動をしていないなど思い当たることがあれば、まずそこから改善しましょう。
また毎日トイレに座る習慣も大事です。
便秘治療の方針ですが、まずはやはり非刺激性下剤(緩下剤・便をやわらかくする薬)を用いて便を柔らかくすることです。
最初はやはりマグネシウム製剤から開始します。
腎機能の低下している方や、高齢の方は高マグネシウム血症の恐れもあり、定期的に採血が必要です。
この調節が難しくて、中にはものすごく下痢になってしまう人もいます。
また難しいところが、飲んですぐに便が柔らかくなるわけではない、というところです。
いますでに腸で硬くなっている便をやわらかく変えることはできません。飲み始めてからつくられる便をやわからくします。
あんまり効果ないな、と思ってたくさん飲んでいると、栓をしていた固い便が出た後に洪水が起こります。
また、下痢気味だからと飲むのをやめてしまうと、便が固くなり、その固くなってしまった便がまた栓をすることになります。
自分に合った量をきちんと継続することが大事です。
この緩下剤に最近は新しい薬が増えてきてます。
リンゼス:腸のGC-Cという受容体に作用し、腸内の水分分泌をふやします
アミティーザ:小腸のCIC-2という受容体に作用し、腸内の水分分泌をふやします
グーフィス:大腸内の胆汁酸を増やし、大腸内の水分分泌を増やし、動きも活発にします
モビコール:大腸内に水分を引っ張り、便を柔らかくします
マグネシウム製剤しかなかった緩下剤にずいぶん選択肢が増えました。
マグネシウム製剤ともまた作用が違うので、併用することでさらなる効果も期待できます。
これらの緩下剤を併用しながら、それでも便が出ない時は刺激性下剤(おなかを動かす薬)を頓用で使用します。
この刺激性下剤は耐性といって、使っていると徐々に効果が出づらくなってきます。漫然と使い続けるのではなく、可能であれば週1~2回の使用の抑え、緩下剤のみで便が出るようになれば中止するのが望ましいです。
これらの薬剤を駆使しても便が出ない時は、器質的な疾患や、直腸からの排出障害の可能性があり、もう少し詳しい検査が必要になります。
時に便秘のため市販の下剤を飲み続けている人がいます。
市販されている下剤は刺激性の下剤が多いです。
一時的に排便が得られることがあっても、長期間連用していいものではないと思います。
便秘でお困りの方はぜひ一度ご相談ください